森のコンサートシリーズvol.5 音楽歌物語「木馬がのった白い船」(終了しました)
日時
2020年10月3日(土)2回公演
13時30分開演(13時開場・休憩なし55分公演)
15時30分開場(15時開場・休憩なし55分公演)
東京ガーデンパレス「お茶の水ホワイトチャペル」
演目
「ブドウのつゆ」
詩:まど・みちお
作曲:木村 哲郎
音楽歌物語「木馬がのった白い船」
原作:立原 えりか
作曲:木村 哲郎
プログラムノートにかえて
もう20年くらい前の感覚だが、おそらく10数年前。ファゴットの磯崎さんから「これは泣けるので聴きに来た方がいい」と誘われて、日暮里へ。衝撃の「ブドウのつゆ」の第一声。歌詞とハーモニーが一体となって体の中にまさに電流が走る感覚。開始3秒で涙腺崩壊するという経験をする。
何曲か木村哲郎さんのソングを聴いてから、木馬だったか、どうだったか記憶が定かではないが、アンサンブルテオリアの「木馬がのった白い船」。これも最初の歌「小さなまちにあった お話です。その夜はあんまり、、、」の部分ですでに涙はでているという。木村哲郎さんの「音楽」に乗った立原えりかさんの「ことば」は続きます。「まちは ふかいみずうみのそこへ しずんだようでした」「みちも なみきも ずっとたかいところにたっているひらいしんも ほしからおちてくる あおいしずくをあびて うっとりとねむっていました」言葉と響きに心の中を温めてもらうような感覚。そして熱い涙は出続ける。それは客席にいた方々もおそらく同じ感覚の人がたくさん。すする音がたくさんしましたから。私は周りに知り合いもいない大男でしたので、恥ずかしさもあり、すすれません、垂れ流しです。
その後一度飲みました。磯崎さんと作曲の木村さんと3人でいずれやりましょうと。今から10年以上前に。それが今実現します。ただ、この文章を書いているうちに念願の木村作品の楽師としてクラリネットが吹ける喜びよりも、今回の公演を客席でみることができないことが残念になってきました。(笑)
さて今回のキャスト・楽師に関しましては私がこれまで共演してきた方にお願いできました。木馬の上田亜希子さんとはミュージカル「ペテン師と詐欺師」でご一緒しました。天真爛漫に優しくて伸びやかな演技と歌声に「ペテ詐欺」ではメロメロでしたが、木馬ではウルウル。たまに役柄の地がみえるんです。天真爛漫な木馬の中に。山口イサク役の米谷毅彦さんとは当時私が21歳!(これは覚えている)のときオペラ「ヘンゼルとグレーテル」「魔笛」などでご一緒しました。オペラの音楽と芝居がこんなに一体化するものなんのか!と舞台上での一挙一動一声に感銘受け、自分も一流の演奏家になろうと強く心に決めました。(確か指揮者を目指すことをやめたのも米谷さんを指揮できないと思ったからだと思います(笑))そしてゆうびん局長は木村哲郎作品を上演していたアンサンブルテオリアのメンバーで中馬美和さん。ひと際光る存在感、日本語の上質な響き。月末のリサイタルも楽しみですね!今回の稽古を通して私にとってはさりげなく重要なアイデアをたくさん頂いております、ありがとうございます。朗読は原きよさん。風の五重奏団のホール公演で何度かご一緒していましたが、昨年の大分での文化庁公演での「おかしの大運動会」でさらに感動してしまいました。音楽の調性に対する声色とリズムに対する間合い。太宰治がご専門とのことですが、すみません、まだ伺えておらず。先日の「クラムボン」もありがとうございました、蟹たちが上品で可愛すぎです。ピアノの藤井亜紀さんとはオケの一員とソリストの禁断の、、、!普通、オケの現場ではソリストの方とお話する機会なんてないのですが確か一緒に演奏するミの音で仲良くなれました。ピアコン4番に感謝です、ありがとうベートーベン。国際的にソリストとして活躍されている方に楽師を!?と思ったのですが、言葉と音楽の世界を繋いでもらえると思い!そしてファゴットには森の五重奏団・合奏団の磯崎政徳さん、ここも20年になりますがまた別の機会に、、、あ、東京オペラシアター時代からの地主さんにスタッフ補をお願いしてしまいました、、、私もいつか皆さまの何かでお役にたてますように、、、!
(文 森の五重奏団・森の合奏団 クラリネット奏者・プロデューサー 大藤 豪一郎)
出演
うた:上田 亜希子(木馬)
幼少より歌やダンスに親しみ、19歳で劇団四季に入団。『ライオンキング』ヒロイン/ナラ役『コーラスライン』マギー役など主要キャストとして出演し、8年間在籍。退団は、劇団☆新感線35周年オールスターチャンピオンまつり『轟天vs五右衛門』『蒼の乱』『炎立つ』韓国ミュージカル『パルレ』『(愛おしき)ボクの時代』などに数多くの舞台に出演。
近年は舞台のみならず、ヨガ講師・自身プロデュースのLIVE活動、若手の育成など幅広く活動している。
うた:中馬 美和(ゆうびん局長)
東京都出身。洗足学園大学附属高校音楽科及び同大学ピアノ科卒業。在学中より同大学附属合唱音楽研究所研究生として研鑽を積む。声楽を川名佑一、麻野恵子の各氏に、ドイツ歌曲を西田典子氏に師事。ソロ公演「ソングとの出逢い」(2011)、「An die Musik ~音楽に~」(2013)、「セチュアンの善人」(2016)、2015年より「ラ・ヴィータ」コンサートシリーズを継続。また2012~2018年「林光・歌の本Ⅰ~Ⅳ全曲を歌う」を開催し、全134曲を演奏した。1999年~2011年「アンサンブル テオリア」の歌役者として新作オペラや鑑賞教室等100公演以上に出演。全国「叱られて」歌唱コンクール入選。
現在、合唱団のヴォイストレーナー、ピアニスト等を務める。竹田恵子氏による「こんにゃく体操とうたの会」会員。「ムジカの会」声楽講師。
うた:米谷 毅彦(山口イサク)
盛岡一高、中央大法科卒業、東京藝大大学院独唱専攻修了。1994-98年渡欧、ヴェネツィア、ミュンヒェ ン、ヴィーンの各地に在住。 コンスタンツァ 国立歌劇場第 1 バリトン契約、同歌劇場公演 “リゴレット”題名役デビュー。ドイツ、イタリ ア、オーストリア、オランダ、ルーマニア他ヨ ーロッパ各地で演奏活動を行い、97年ヴィー ン国際音楽コンクール声楽2位、フランス歌曲演奏を顕彰されJ.F.ペレヌー協会特別賞受賞。帰国後は新国立劇場主催公演や二期会本公演他へ多数主演、芝居役者としても俳優座劇場他へ全国で出演。
聖徳大学講師、日本声楽家協会アドヴァイザー、日本声楽アカデミー会員、二期会BLOC”Liebeslieder”代表、二期会会員。
ナレーション:原 きよ
朗読家・フリーアナウンサー。 朗読を長谷由子に師事。太宰治作品朗読を得意とし、太宰治ゆかりの地での朗読ライブを行う一方でゆかりの人物の取材にも力を入れている。
また日本語の美しさやリズムを大切に童謡詩や童話の朗読も好評で、幅広い年代を対象にワークショップを絡めた朗読活動や演奏家との共演も多数行っている。
三鷹ネットワーク大学など朗読、話し方講座講師。文化庁芸術家派遣事業アーティスト。朗読集団「コトザウルス」、 劇団「シアターRAKU」所属。
演奏:森の合奏団
クラリネット:大藤 豪一郎
洗足学園音楽大学卒業。日墺文化協会主催のオーディションに合格し、フレッシュコンサートに出演、奨励賞受賞。2017年ジャパンフェスティバルオーケストラの首席クラリネット奏者としてサウジアラビア公演に、2019年「ファミリーコンサート」オーケストラで聴くジブリ音楽の中国ツアー(上海・北京公演)などに参加。
東京スカイラインオーケストラ首席奏者、森の五重奏団・森の合奏団プロデューサー/クラリネット奏者。文化庁「文化芸術による子供育成総合事業~芸術家派遣事業」講師。
ファゴット:磯崎 政徳
埼玉県飯能市出身。15歳よりファゴットを始める。
埼玉県立川越高等学校卒業。武蔵野音楽大学音楽学部器楽学科中退。ファゴットを岡崎耕治、吉田将の両氏に、室内楽をカールマン・ベルケシュ、ツォルト・ティバイ、山本正治の各氏に師事。アンサンブル・イヴローニュ、森の五重奏団メンバー。
吹奏楽指導者として、飯能市立美杉台中学校吹奏楽部を創部2年目より2年連続全国大会に導くなど、多くのスクールバンドやアマチュア吹奏楽団で指揮・指導する傍ら、コンクールの審査員、指導者クリニックや課題曲講習会の講師としての活動も多数行う。2011年、ジャパンライム(株)より吹奏楽指導法をまとめたDVDが発売された。
ピアノ:藤井 亜紀
バロックから現在まで幅広いレパートリーを持ち、「感性と知性の調和をあわせ持つピアニズム」(ムジカノーヴァ)「高い音楽性と多彩な表現力」(音楽の友) 等、高い評価を得ている。リサイタルのみならず、ソリストとしてハンガリーやフランスをはじめヨーロッパ各地で多数公演。特にハンガリーにおいては、2003年「ソルノク市立交響楽団」の定期演奏会ソリストとして出演して以来、現在まで同楽団のプルミエールソリストとして毎年招聘されている。東京室内管弦楽団との共演は、これまでソリストや室内楽など、約200公演を数える。
最近では、バッハのピアノ協奏曲全曲演奏( 藤井による弾き振りによる。)を進行中。また、室内オーケストラの新しいスタイルに挑戦すべく音楽家有志で立ち上げた、 グラーツィア室内管弦楽団と、これまで弾き振りによるピアノ協奏曲( ラフマニノフ: 第3番、ベートーベン:第4番、モーツァルト:第14番)を演奏、いずれも高い評価を得た。アンサンブルピアニストとしても、多くの国内外の第一線の演奏家から篤い信頼を得ており、サクソフォーン奏者・雲井雅人氏との共演CD「Simple Songs」は、「レコード芸術」<特選盤>に推奨された。また、ジャズピアニストで作曲家のTom Pierson、Bruce Stark各氏とのコラボレーションも開催、その活動は、2011年「” W100 ピアニスト”ジャンルを超えた女性演奏家たち」(シンコーミュージック・エンタテイメント出版)で広く紹介されている。現在、聖徳大学音楽学部兼任講師、茨城県立取手松陽高校音楽科非常勤講師を務める一方で、多くの音楽講座を持ち後進の育成にも力を入れている。
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、東京藝術大学を卒業後、渡独しドイツ・ミュンヘン国立音楽大学大学院マイスタークラス修了。
作曲・指揮:木村 哲郎
武蔵野音楽大学作曲学科中退。1999年にアンサンブルテオリアを立ち上げ2011年の解散まで、自作のオペラ、ソングを中心とした公演を行うとともに、東北、関東地域において子ども向けオペラ、コンサートの上演を数多く手がける。現在、フリーの音楽家として作曲活動とともに、アマチュアオーケストラ、吹奏楽団、合唱団のトレーナー、指揮者を務めている。
TIAA全日本作曲家コンクール奨励賞、東京国際歌曲作曲コンクール最終ノミネート。
主要作品に音楽物語「木馬がのった白い船」(原作:立原えりか)、オペラ「手紙の神さま」(原作:カレル・チャペック)、オペラ「パコと魔法の絵本」(原作:後藤ひろひと 神奈川県立生田高等学校グリークラブ委嘱作品)、混声合唱とピアノのための「くじけな」(詩:枡野浩一)、混声合唱とピアノのための「ジユラルミンの雲はオレンヂの匂ひがする」(詩:克山滋)、女声合唱のための「ボートを漕ぐおばさんの肖像」(詩:辻征夫)などがある。
チケット
一般:5,000円
25歳以下:1,000円
※感染防止対策のため各回36名限定
morigo@mori-no-orchestra.jpより事前にお申し込み下さい。